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fairy story

タナッセ愛情B、婚約発表後
交渉知力が50位のレハトさま、名声?ダンスで稼いだよ!な子。

落として上げる系?
ウジウジされると話が進まないので行動させたらタナッセがサギッセになった・・・






急ぎの用で、文官へ書を渡しに図書室へと立ち入る。
取次を願い、文官への用を終わらせて、ふと、周りを見渡す。
城の図書室はいつも一定の静寂を保っている。
この後の用までまだ幾分か時間があるため、図書室で時間を潰すことにして、本棚の間を歩く。

何か目新しい物はないかと、本へ視線を巡らせていると、後ろにある本棚の裏から、密かに声が聞こえた。
聞き間違える筈はない、それは自分が唯一、恋心を抱く女性の声だった。
一目見たいと裏へ回ると、先に文官の姿が目に入る。

そう言えば、聞こえたのは声だ。声を発していると言うことは、誰かと会話をしているという事だ、そう思い足を止める。
不躾だと思いながら、邪魔をするのもどうかと思い、伺うように本棚の向こうを見ると、男性の文官と、何やら楽しそうに話す彼女が見えた。

一番奥にある本棚は幼児向けの本が多く置かれているため、滅多に人は来ない。
その様な場所で、文官と何を話しているのか・・・・・・

彼女は文官から折りたたんだ紙を受け取り、嬉しそうに自分かいる方とは逆の方へと踵を返す。

・・・・・・本について訊ねるのであれば、わざわざこんな場所でなくても良いはずだ。
あの様に嬉しそうな顔をして何かの書付を受け取る理由も・・・・・・

上手く回らない思考でそんな事を考えながら、自分も図書室を後にする。

図書室を出た所で、数歩先を歩く彼女に声を掛ける。
彼女は振り返り、先程の様な笑みを浮かべながら、私へと駆け寄ってきた。

何を話したくて彼女を呼び止めたのか・・・
自分でも分からなかったが、口は勝手に体調を気遣う言葉や、他愛のない話題を吐き出す。

彼女が左手に持っている紙は、私の視界に入らない様、さりげなくドレスに隠れて見えない。

痛みと不安が胸に渦巻く、先程の男性は自分とは全く似つかない、誠実そうで爽やかな男性だった。

勝手に動く口に気を配る事を忘れていると、図書室に何か探し物があったのか?と彼女に訪ねていた。口を閉ざそうとした時には、彼女が何か読み応えのある本は無いかと思って図書室まで来たと返答する。

痛みと不安に混じって何かドロドロとした暗い感情が流れ込んでくる。
彼女を信じたくとも自分には自信も確信もないのだ。

どれだけ自分が彼女を願っても、彼女が無理に私を選ぶ理由など無い。

それこそ、私なぞと婚姻を結ぶより、先程の文官と愛を深める方が、彼女が嘲弄される事も少ないだろう・・・・・・

そうだとも、何を血迷って私なんぞと・・・・・・

「・・・・・・何か見つかったか?」

今は書写に回される事が多い時期らしいので、また今度、図書室に来る事にしたと、彼女は少し肩をすくめた。

「そうか、本についてならば、多少なりとも力になれるだろうし、持っているものもある・・・・・・何を借りたがっているのだ?」

そう言って彼女の左手に視線を送ると、彼女も気付いたのか、少し慌てたように大した本ではないと、手を背後に回す。
どうやら私には見せられない物らしい。
目当ての本の題名が書かれた紙でないのなら、あの様に奥まった場所で男性から受け取る類の物なのだろう。

「気にするな、お前の力になりたいだけだ。ああ、そうだとも・・・・・・お前が無理をするのが私の望みではないのだ」

彼女の隣にいるのすら僥倖だと言うのに・・・・・・
今自分を突き動かしている感情はなんだというのだろう・・・・・・
胸に渦巻く不快な感情は・・・嫉妬・・・なのだろうか・・・
それとも、諦めなければと、彼女が望むならば、開放するべきだと自分を責める感情なのか・・・・・・

どちらにせよ、醜く、彼女に向けるには余りにも身勝手な感情なのだろう・・・・・・

「モル」

護衛の名を呼ぶと、一瞬迷った様な視線の後、素早く彼女の背後へと手を伸ばす。
彼女が護衛の気配に気づく前に、その手から紙を引き抜き、私へと差し出す。

言い出し難いのならば、こちらが気付くべきなのだろう・・・
彼女が慌ててこちらへと手を伸ばす前に、彼女の届かない場所まで腕を伸ばし、書を開く。

見開いた紙に視線を流すと、想像とかけ離れた文字の羅列に思考が止まる。

全く理解できずに彼女へと視線を向けると、顔を赤くした彼女が纏まりのない言葉を一生懸命しゃべっている。

この紙は・・・・・・どう見ても・・・・・・

「・・・・・・どうしたレハト・・・・・・まさかお前・・・文字の読み方すら忘れたのか?」

違うと必死に否定する彼女に畳み掛けるように言う。

「これはどう見ても、幼い子ども向けの童話しか無いではないか・・・・・・詩集を書写出来るぐらいには、読み書きは出来ると聞いていたぞ?それとも何だ、それは嘘か?まさかお前・・・この程度の本を読むので精一杯なのか?」

予想していた紙の内容よりも、彼女の知性の方が心配になる。
前から口で言うよりも、手を出すほうが早いとは思っていたが、まさかこの程度の本すら読めないのであろうか?いや、私は別に構わぬのだが、それではこれから先、苦労するのは彼女の方だ。剣を振るうよりも、大人しく本を読んでいた方が、体にもいいだろう、ならば母上に頼んで彼女に読み書きの教師を付けた方がいいだろう。
彼女にそう提案すると、段々と彼女の顔が不機嫌になっていく。

次の瞬間、大声で私を罵倒し、その紙はいらないと捨て台詞を吐いて彼女は走り去って行った。

・・・・・・言い方が不味かったのだろうか・・・・・・
いや・・・しかし、流石に童話を読むので精一杯となると、色々と支障が出てくる筈だ。

「お馬鹿さんはレハト様を怒らせて何がしたいのです?」

その声に体が過剰に反応する。横の回路に視線を向けると、恐ろしい笑顔をした従兄弟が立っていた。

「・・・・・・っ・・・・・・おっ・・・お前には関係ないだろう・・・」

そう言うと目を細め、ツカツカとこちらに歩んでくる。

「なっなん・・・・・・くっ来るなっ」

「お黙りなさい、女性をあの様に怒らせた貴方に言われたくありませんわ」

言いながらユリリエはにこりと笑い、私の手からレハトの紙を奪う。

「あっおいっ!・・・・・・」

取り返そうと手を伸ばすと目で威圧され、思わず腕が止まる。
ユリリエが紙に視線を走らせ、内容を読み終えると、私の方を向き、呆れた様にため息を付いた。

「我が従兄弟はどこまで鈍感で愚かになれば気が済むのかしら・・・レハト様も大変ですわね・・・」

「な・・・何の事だ・・・だいたい・・・鈍いも何もないだろう・・・」

差し出された手から紙を奪い、ユリリエに視線を戻すと、何か含んだ様な視線を向けられる。

「まあ、いいですわ・・・私からの婚約祝いとして教えて差し上げましょう。別にレハト様は童話以上の本が読めない訳ではありませんわよ?」

だったら、この紙はなんだと言うのだ。
どれも十も行かぬ子どもが読むような本ばかりだ。

「ふふっ・・・・・・可愛らしい方ね、本当に。愚かな従兄弟には勿体無い方ですわ。よく本の内容を思い出してみなさい。貴方も読んだことがあるでしょう?」

そう言われ、もう一度、紙を開き本の題名を読み返す。
何度読んでも子ども向きの本ばかりだ。むしろ子ども向けの本しかない。

「その全てのお話は内容は違えど結末は同じ。王子様と結ばれる恋物語。なぜレハト様がそんなお話を読みたがったか、よく考えることね、元王子様?」

そう言ってユリリエは図書室へと向かって行った。

私は動けずにユリリエの言葉を反芻する。
完全に理解するより先に頬へ熱が集まるのが分かる。
つまり、彼女が読もうとしていたのは、知性を上げるためでも、童話だからでも、無い。
彼女が望んだのは・・・・・・

「なん・・・・・・馬鹿か・・・あいつは・・・・・・」

王子と結ばれる恋物語を探すためにあの奥まった書簡にいたのだ・・・
王子と幸せになる物語を書き付けてもらったから笑っていたのだ・・・

自分はもう王子ではない。けれど、去年までこの国でただ一人の王子であった。
王に関して世襲制でないこの国では、さほど意味を成さなかった。
まさか王子でなくなった今、始めて王子であった事を喜ぶなぞ思ってもみなかった。

・・・・・・この書付は返すべきだろうか・・・・・・
どんな顔をして返せばいいのか・・・

「・・・・・頭が痛い・・・」

本当に・・・愚かだと思う。私も・・・・・・私の唯一の想い人も・・・
紙を丁寧に折り直し、私は回路を歩き出した。
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